お釈迦さま、と日本で通称されている人物は、いかなる生涯を、いつ頃、そしてどこで送ったのでしょうか。
できるだけ伝説的要素を除いて、史実らしいと思われる部分を、経典の記述から取り出してみると、およそ次のようになると思われます。
西暦紀元前6〜4世紀頃、すなわち、今からおよそ2500年ほど前に、北インドにあったカピラバストという一小国の王子として、シュッドーダナ(浄飯)王と、妃マーヤー(摩耶)夫人の間に誕生しました。
シッダールタ(悉達多)と名づけられたこの王子は、やがて成長して従妹のヤショーダラー(耶輸陀羅)と結婚し、一子ラーフラ(羅羅)を設けましたが、この世の無常なることに思い至り、29歳の時に、城を出て一出家者となり、その後6年の間、当時の有名な修行者や仙人を訪れますが、彼等の教えに満足できず、一人ナイランジャナ河(尼連禅河)のほとりで瞑想にふけりました。
大乗仏教の伝統的所説によりますと、35歳の12月8日の早朝に、この世の真理に気がついて、「めざめた者」としての仏陀の境地に到達したといいます。
それ以後80歳で亡くなるまでの45年の間、自らが悟った教えの内容を、インドの諸地方を遍歴しながら、多くの人々に説き続けたのであり、その教えの内容が後に、弟子達によって、経典という形に編纂された、と信じられています。
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