お経について

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お経の種類
1.小乗経典
歴史的人物である釈尊が、これまた歴史的人物である弟子たち(出家者)を相手に教えを説かれたのが小乗経典のタテマエとなっています。
小乗仏教は基本的に出家者のための、出家者による仏教ですから、その経典もまた第一義的には出家者のためのものです。したがって、そこで説かれている教義は非常に理性的で、誰にでもわかりやすいのです。常識の世界とあまりにもかけ離れた奇跡的なものが、(皆無ではないが)少ないのがその特色となっています。
2.大乗経典
大乗経典において法(真理)を啓示される仏陀は、時間と空間を超越した理念的な存在である釈迦牟尼仏です。そして、その教えをうける聴衆は、主として在家信者です。つまり、仏陀が在家信者のために法を説かれたのが大乗経典です。また、小乗仏教においては絶対に仏になれないとされていた女性が、大乗経典では主役になることもあります(たとえば『勝鬘経』)。大乗経典は、在家者のための経典であるといえます。
それから、大乗経典においては、しばしば宗教的な瞑想体験が述べられています。その点も、大乗経典の一つの特色でしょう。
3.密教経典
密教経典の特色は、基本的には大乗経典のそれと同じです。大乗経典に見られる神秘的傾向を、より一層強めたものが密教経典だといえるでしょう。それと、密教においては、人間的な欲望や男女の性行為がそのまま肯定されています。したがって、性的表現が多く使われているところにも、密教経典の独自の特色があるといえるかもしれません。
このような仏教経典を集成したものを、「大蔵(だいぞう)経」または「一切(いっさい)経」と呼びます。そして「大蔵経」には、その経典の言語によって次の三種のものがあります。
1.パーリ語三蔵
これはパーリ語の大蔵経であって、小乗経典のみが収録され、大乗経典を含んでいないのが特色です。
2.チベット大蔵経
チベット語に翻訳された一切経。
3.漢訳大蔵経
中国語に翻訳された経典を中心に、中国人仏教者の著作をも含めて編集したものです。大乗・小乗の経律論をすべて含んでいます。現在日本でも最もひろく使用されているのは漢訳大蔵経です。