『法華経』もまた典型的な大乗経典です。
『法華経』が説いているのは、「永遠の仏陀」という理念です。インドはクシナーラーの地で、八十歳で入滅されたかに思えます仏陀は、その実、永遠の生命をもった存在であり、永遠の過去から永遠の未来にかけてこの世にありつづけ、法を説かれています。われわれ凡夫は、子どもが父親を慕うがごとくにこの仏陀に帰依し、仏陀の永遠の生命に帰入すればよいのです。そうするとき、わたしたちは大きな生命(いのち)の喜びを体現できるのです。つまり『法華経』はわれわれに生命の歓喜を教えてくれています。
なお、そのほかに、『法華経』は一乗の思想を説きます。それは、人の資質や能力に応じて三つの異なる悟りの道があるという「三乗」の思想に対して、仏教の真実の教えはただ一つであって、その一つの道(一乗)によってすべての衆生が一様に仏になれると説くものであります。
|
|