剃髪とは
頭の髪や顔のひげを剃るのを、剃髪(ていはつ)<浄髪(じょうはつ)・落髪(らくはつ)>といいます。 剃髪の趣旨は、仏道修行者として世間的な虚飾をさけ、また他の宗教信者と区別するためといいます。 僧形の一つの表現です。
禅門の道場では、今でも毎月の四の日と九の日(これを四九日という)、つまり月に六回剃髪しています。 いつも並んで坐禅している隣りの僧<これを隣単(りんたん)という>と相互に剃りあうのです。 慣れぬうちは”切られ与三”のように傷だらけになります。しかし、いくら器用でも隣単の手を借りずに自分の頭髪を剃ることは「不和合」として禁じられています。 ひとりでできることでもあえて他者を煩わして和合を計り、感謝しあえ、との教えに趣きの深いものを感じます。
浄土真宗は、その宗旨の建て前から剃髪はしないようですが、本山での安居会(あんごえ)ではやはり剃髭をするようです。 もっとも十三仏の像を拝むと剃髪の僧形は地蔵菩薩だけです。 これについて諸説があります。 文殊問経に「髭の長さは二指にしてまさに剃るべし」とあるから、「指二本重ねた長さより伸ばしてはならぬ」との意であるといいます。 つまりその長さまでは伸ばしてもよい、との意にもなります。
また釈尊から禅法を受けた第一祖の大迦葉(だいかしょう)は剃髪をしなかったようです。 さらに、季候風土の必要による説もあります。 インドの風習制度よりも、歴代の祖師の多くが剃髪されたのを学んだ結果の作法と考えられます。
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