お盆の迎え火・送り火・供物
お盆の行事には、人間の美しい心、そして思いやり、いつくしみの心がこめられています。今は亡き先祖父母が、生家にもどって来てくださるのです。どうお迎えしようか?どうおもてなししようか?と心を寄せ合うところにお盆の行事の出発点があります。12日になると盆市が立ちます。ここで精霊棚をかざるマコモ・盆花・オガラ等や、お供物をそろえます。13日には精霊棚を作ります。
夕方になると、亡き精霊がわが家に帰り来るのに道に迷うわないようにとの願いのもと、庭先とか玄関先で「迎え火」をたきます。同時に墓地に近い家では、墓参りして盆灯籠に火をつけお迎えしてきます。精霊棚にはお供物を供えます。精霊方が、馬に乗り、牛に荷物を背負わせてお帰りになるという言い伝えから、キュウリやナスに割箸の足をつけ、とうもろこしの毛を尾にして牛や馬の形を作ります。
また季節の野菜、果物を供えます。そして14日にはソーメン、15日には団子を供え、このほかにイモの葉の上にナスやキュウリを賽の目に切り洗米とまぜミズノコを作り、別の器には水を入れ、萩の箒で供物にそそぎます。これを百味飯食(ひゃくみおんじき)といって、一切有縁、無縁の精霊に供物を供える意味があります。そして盆中には、檀那寺の僧侶が棚経をあげに訪れます。15日の夕方には「送り火」をたき、その一すじの火に「どうぞ、ご無事に本座にお帰りください」との願いをたくします。精霊棚のかざり物や供物はマコモに包んでお寺に運び流していただきます。
14日に供える迎えソーメン
…喜びを細く長くという縁起かつぎ
15日の送り団子
…六地蔵に供える意味において六個供え、そして百味飯食には、亡き見ず知らずの方に真心をささげること、そのことが社会の中にあって、見ず知らずの人々にもちょっとした思いやり、親切の功徳を積むことに通じていることを示しています。
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