観音さまは男か女か
中国やわが国で一番親しまれている仏というと、観音さまがあげられましょう。
その柔和な容姿は人々に慈母のようにしたわれ、寺院だけでなく、家庭に祀られています。
そもそも観音さまは、観世音菩薩とも呼ばれ、勢至菩薩とともに阿弥陀如来の脇侍です。勢至菩薩が智慧を表わすのに対して、観音菩薩は慈悲を表わし、梵語で「アヴァロキテッスヴァラ」(世音を観る)といい、人々の苦悩の叫び声を観じて応病与薬の慈悲をたれます。
一般に観音さまの慈悲の相をみて、女性であろうと考えているが、仏菩薩には無記といって性はありません。
仏教で女神的な性格をもつ仏は天部における吉祥天や弁財天のように、ほとんどインドのヒンズー教から移入されたものです。
ただ、観音さまは女性ではないにしても、その慈悲心にあふれる性格からいって、知性を象徴する勢至菩薩と対比した場合には、その感性は女性的であるといえましょう。
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