不動さまはなぜ恐い顔なのか
仏さまはたいてい柔和な顔をしているが、明王部の仏さまは例外で、見るからに怖い顔をしています。お不動さんは、正しくは不動明王といい、明王部の代表格の仏さまで、人々の迷い(無明)をくだき、世の中の真理を明らかにすべく奔走します。その姿は一般に、右手に剣、左手に索を持ち、目をカッと見開き、口には牙を出してわれわれをにらみつけ、カッカと燃えさかっています。そうすることによって、人々の心に蔓延している無知や悪やごまかしをすっかり見通し、それらの汚れを徹底的に焼きつくし、根絶しようとするのです。
仏さまはすぺての人々を救いとるためにこの世に存在しているわけですが、世の中には縁なき衆生もいるらしく、まともなことをいくらやさしく言って聞かせても馬の耳に念仏で、聞く耳を持たない者がいます。そうした人には仏さまのほうから出ていって、その耳をこじあけ、仏の言い分をよく聞かせる必要があります。そんな時に必要なのがこのお不動さまなのです。
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